いよいよ最終回を迎える、『愛の、がっこう。』
私は人生で1,2を争うハマりぶりです。
こういうエンタメとの出会いがあるから生きるって楽しいのよね!くらいの生きる糧になっています。
この物語がものすごく大きな社会現象にならないのもまた分かるなあと感じます。
ただの恋愛やむずきゅんじゃない。
恐ろしいくらい的確に、見ている側の葛藤やトラウマを突き刺してきて途中離脱した人は多いと思うのです。傷があまりにも生々しすぎて直視できない、そういうことが起こり得るくらい鋭利な視点でそれぞれをえぐります。
葛藤を抱えていない人など誰もない。
でも多くはどうにかこうにかごまかしたり見ないふりをして生きています。
おちゃらけたり、キレたり、相手を攻撃することによって、自分すらも騙しごまかしながら葛藤から目をそらす。
そうやって生きる。それが当たり前だと思っていた。
かくして膿んでいるけど、触らなければ生きていける、そんな部分をえぐる物語が『愛の、がっこう。』でした。
えぐってさらけ出して、認識するから、回復する。
そんな当たり前のことに気づかせてくれる物語です。
最終話の予告に大雅の言葉があります(おそらく手紙かな)
『チワワ先生、俺、漢字が書けなくてよかったよ。だって漢字が書けてたら先生と付き合ってなかったもんな』
という。
葛藤をさらけ出し、認識し、受け入れる、という葛藤克服のプロセスをたどります。
人はいくつもの葛藤を抱え生きていて、何かの刺激でそれが表面化し、ある時は見ないふりをし、ある時はそれを克服するために勇気を振り絞る。大雅の言葉から葛藤克服したことが窺えます。
いやあ素晴らしい物語ですね。
主人公愛実もまた、誰かを愛するという恐怖を克服していきます。親の支配という呪縛も丁寧にほどきながら。本当に愛情深く強い女性ですよね。木村文乃にピッタリ。
序盤抑えた演技からの腹を括ってからのカッコいいこと。
大雅が愛実に惹かれるのが分かります。これほど嘘のない心で自分を導いてくれたらそりゃあ惹かれるよね。
でも、愛実は何で大雅に惹かれたのかしら。
ちょいちょいやさしいです。元々愛情深い質なのでしょう。ほっておけないと思うと気にかけてしまう人なんだと思います。でも一番グッと来るのは相手の尊厳を守ること。むやみと手を貸さない。
『代わりにやっておいてあげるから貴方はやらなくていい』というのはやさしいようでやさしさではありません。その人の機会を奪う事です。大雅はそれをしない。
過保護な親の元にいた愛実にとって大雅は自分の足で歩くことを認めてくれる人だったのかな、と。
10話にとても好きなシーンがあります。
愛実が学校をやめるという事に大雅が怒って言い争っている最中ブレーカーが落ちて停電します。
そこで大雅は説明しながら、愛実に自分で分電盤のブレーカーを上げさせます。愛実の手が届かないので、大雅は下から抱えてでも愛実にブレーカーを上げさせる。
ケンカして怒っていても、相手の尊厳を踏みにじらない。
大雅の人柄が分かる、ホントにとても素敵なシーンです。

明日でホントに物語終わっちゃうのか・・・寂しくて仕方ありません。
今の時代にドンピシャでマッチした物語でしたね。
学習障害にネグレクトに夜職の男。
ストーカーから自殺未遂から親の庇護から抜け出せないアラフォー女。
それぞれの葛藤からの解放の物語。
本当に久々に全身で楽しんでいる物語です。
どうなるのかラスト気になるけど、同じくらいの感情で終わってほしくない・・・